電気自動車の今後

 地球温暖化や大気汚染の問題に対応するため、世界ではガソリン車やディーゼル車から電気自動車(EV)への移行が進んでいる。日本でも政府や自動車メーカーがEVの普及に向けた取り組みを強化しているが、まだまだ課題も多い。本稿では、EVの現状と将来予測、普及に向けた課題と対策、日本のEV産業の展望について考察する。

 まず、EVの現状と将来予測について見てみよう。EVとは、バッテリーを充電して走る自動車で、走行中にCO2を排出しないことが特徴だ。世界では、欧州を中心にEVの販売が急増しており、2021年上半期には世界新車販売台数の約11%を占めた。これは前年同期比で約2.5倍という驚異的な伸びだ。一方、日本では2021年上半期のEV販売台数は約3万台で、世界新車販売台数の約0.6%にとどまっている。日本ではハイブリッド車(HV)が主流であり、EVへの移行は遅れていると言える。

 しかし、今後は日本でもEVの普及が加速することが予想される。政府は「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」という目標を掲げており、東京都も「2030年までにガソリンエンジンだけの乗用車販売をゼロにする」という目標を表明している。また、自動車メーカーも次世代自動車戦略としてEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)の強化を図っており、2022年以降に多くの新型EVが発売される予定だ。ボストン コンサルティング グループ(BCG)の予測では、日本の電動車(xEV)の新車販売台数シェアは2030年に55%に達するとされている。

 次に、EVの普及に向けた課題と対策について考えよう。
日本でEVが普及しない理由としてよく挙げられるのは、「価格」「航続距離」「充電インフラ」の3つだ。これらの課題は技術的なものばかりではなく、社会的なものも含まれている。それぞれについて見てみよう。

 価格という課題は、EVがガソリン車よりも高額なことだ。EVの価格は主にバッテリーのコストに左右されるが、バッテリーの性能や供給量が向上することで、価格は下がってきている。価格.comによると、2023年現在、日本で購入できるEVの中で最も安いのは日産の軽自動車「サクラ」で、約240万円からとなっている。一方、最も高いのはテスラの高級セダン「モデルS」で、約1200万円からとなっている。このように、EVの価格は幅広く、予算やニーズに応じて選ぶことができる。また、政府や自治体からの補助金や減税などの優遇措置も利用できれば、さらに負担を軽減できる。

 航続距離という課題は、EVが1回の充電でどれだけ走れるかということだ。EVはガソリン車に比べて航続距離が短く、充電時間も長いため、遠出や長距離移動に不便だと感じる人も多い。しかし、近年はバッテリーの性能向上や急速充電器の普及により、この課題も解消されつつある。例えば、テスラの「モデル3 ロングレンジ」は1回の充電で約690km走れるし、日産の「アリア B9 limited」は1回の充電で約610km走れる。また、急速充電器を使えば、15分程度で80%まで充電できる車種もある。これらの車種はガソリン車と同等かそれ以上の航続距離を持ち、充電時間も短縮できるため、航続距離に関する不安を払拭できるだろう。

 充電インフラという課題は、EVを充電するための設備やサービスが十分に整っていないことだ。EVを自宅や職場などで普通充電する場合は、専用の充電器を設置する必要があるが、これにはコストや工事などの手間がかかる。また、マンションなどでは設置が許可されない場合もある。EVを外出先や高速道路などで急速充電する場合は、充電スタンドを利用する必要があるが、これには利用料金や予約制限などの問題がある。さらに、充電スタンド自体の数や分布もまだ不十分であり、利用者間のトラブルも発生している。

 これらの課題を解決するためには、自宅や職場などで普通充電する場合は、充電器設置についての補助金を活用することが有効だ。国によるEV充電器設置の補助金制度は、「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金」という名前で、一般社団法人次世代自動車振興センターが行っている。この制度では、高速道路や商業施設、マンションなどに充電設備を設置する場合に、機器費や工事費の一部を補助してくれる。補助率や上限額は設置場所や充電器の種類によって異なるが、最大で170万円まで受けることができる。ただし、個人宅への設置は対象外なので注意が必要だ。

 以上のように、EVの購入や運用に関する課題は、技術的な進歩や政策的な支援によって解決されつつある。EVは環境に優しく、経済的にもメリットが多い乗り物である。今後もEVの普及が進むことで、社会全体が持続可能な発展を遂げることが期待される。

この記事を書いた人

ふうりん

55歳会社員。あと、5年で定年です。お金にはある程度ゆとりを持ちたいですが…そんな急に増えませんね…最近ファイナンシャルプランナーの資格を取りました。(FP2級ですが)かじっただけですが、お金は大事です!また、知らないことが多いです!もう少し深堀りしていこうと思って勉強中です!!定年までにもう少し知識を増やして行きたいです。