50代から始める糖尿病対策

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が高くなることで、目や腎臓、心臓や脳などの臓器に障害を引き起こす慢性的な病気です。日本では、約1,000万人が糖尿病と診断されており、そのうち約3割が50代ということがわかっています。また、糖尿病の予備群と呼ばれる人も約1,000万人いると推計されています。予備群とは、血糖値が正常範囲よりも高いけれども、まだ糖尿病とは言えない人のことです。予備群の人は、放置すると数年後には糖尿病になる可能性が高いと言われています。


糖尿病になると、血液中のブドウ糖(血糖)濃度が慢性的に高値となる病気です。この状態が長く続くと、全身の血管が傷み、さまざまな合併症が出てきます2。合併症には、急に始まって危険なもの(急性合併症)と、時間をかけて進行するもの(慢性合併症)があります。

急性合併症には、以下のようなものがあります。

  • 糖尿病ケトアシドーシス:血液中のケトン体という物質が増えて血液が酸性になり、意識障害や不整脈を起こす
  • 高血糖高浸透圧症候群:血液中のブドウ糖が極端に増えて血液が濃くなり、意識障害やけいれんを起こす
  • 感染症:高血糖で免疫力が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなる
  • 慢性合併症には、以下のようなものがあります。
  • 糖尿病網膜症:眼底の血管が傷ついて出血や新生血管の形成を起こし、視力低下や失明を引き起こす
  • 糖尿病腎症:腎臓の細かい血管が傷ついて蛋白尿や浮腫を起こし、進行すると腎不全になる
  • 糖尿病神経障害:末梢神経や自律神経が傷ついてしびれや感覚異常、消化不良や排尿障害などを起こす
  • 糖尿病足病変:足の神経障害や動脈硬化により足の感覚や血流が低下し、傷口が治りにくくなる
  • 高血圧症:高血圧で心臓や脳の負担が増える
  • 心筋梗塞や脳梗塞など:動脈硬化で心臓や脳の血管が詰まって心筋や脳細胞が壊死する

これらの合併症は、重篤な障害や死亡の原因となることもあります。合併症を予防するためには、適切な治療で血糖値をコントロールすることが重要です。また、食事や運動などの生活改善も効果的です。


では、50代になってからでもできる糖尿病対策は何でしょうか。

ここでは、食事・運動・生活習慣の3つの観点から、具体的な方法を紹介します。

食事について

食事は、血糖値をコントロールするために非常に重要です。食事で摂取した栄養素の中でも、特に影響するのが炭水化物です。炭水化物は消化されるとブドウ糖に分解されて血液中に吸収されますが、摂りすぎると血糖値が急激に上昇してしまいます。そのため、以下のような工夫をすることがおすすめです。

  • 白米やパンなどの主食は一食あたり1~2合(150~300g)程度にする。
  • 主食以外の炭水化物(麺類や果物など)は控えめにする。
  • 主食の種類を変える(玄米や雑穀米、全粒粉パンなど)。
  • 主食を食べる順番を最後にする。
  • 主食をよく噛んでゆっくり食べる。

これらの工夫は、血糖値の上昇を抑えるだけでなく、満腹感を得やすくして食べ過ぎを防ぐ効果もあります。

運動について

運動は、筋肉を動かすことで血液中のブドウ糖を消費し、インスリンの働きを助けることで血糖値を下げる効果があります。また、運動は体重や体脂肪を減らし、高血圧やコレステロールなどの生活習慣病のリスク因子を改善する効果もあります。運動は、以下のようなポイントに注意して行うことが大切です。

  • 運動の種類は、有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)と筋力トレーニング(腕立て伏せやスクワットなど)を組み合わせる。
  • 運動の頻度は、週に3~5回、1回に20~30分程度を目安にする。
  • 運動の強度は、自分の年齢や体力に合わせて調整する。息が切れるほどではなく、会話ができる程度が適切。
  • 運動の前後には、血糖値や血圧を測定し、異常がないか確認する。
  • 運動の前後には、水分や塩分を補給し、脱水や低血糖を防ぐ。

運動は、無理をせずに継続することが重要です。日常生活の中に運動を取り入れる工夫をすると良いでしょう。例えば、階段を使う、駅やバス停から少し離れたところで降りる、テレビを見ながらストレッチをするなどです。

生活習慣の改善について

食事や運動だけでなく、睡眠やストレス、喫煙や飲酒などの生活習慣も糖尿病に影響します。以下のようなことに気をつけましょう。

  • 睡眠は、6~8時間程度とる。寝る前にはリラックスする時間を作る。
  • ストレスは、溜め込まずに発散する。趣味や友人との交流などで気分転換する。
  • 喫煙は、できるだけ控える。禁煙外来などで専門的なサポートを受ける。
  • 喫煙は、できるだけ控える。禁煙外来などで専門的なサポートを受ける。
  • 飲酒は、適量にする。一日あたりの目安は男性で2合(360ml)、女性で1合(180ml)以下。空腹時や飲みすぎた時は血糖値が低下する危険があるので注意する。

食事・運動・睡眠以外で工夫

食事・運動・睡眠は糖尿病対策の基本ですが、それ以外にも工夫できることはあります。例えば、以下のようなことが挙げられます。

  • 食事の順番を工夫する。食事の最初に糖質の多い主食ではなく、食物繊維の多い野菜や海藻、きのこなどの副菜やたんぱく質源となる主菜から食べるようにすると、血糖値の上昇を抑える効果があります。
  • 食事の量や時間を記録する。自分が一日にどれくらいの量やカロリーを摂取しているかを把握することで、食事のコントロールがしやすくなります。また、体重や血糖値も定期的に測定し、記録することで自分の状態を客観的に見ることができます。
  • 夜遅くに食べない。夜遅くに食べると、血糖値が上がりやすく、脂肪として体に蓄積されやすくなります。また、翌朝にお腹が空かないので朝食を抜く傾向があり、生活のリズムが乱れやすくなります。可能な限り、寝る2~3時間前までに食事を済ませるようにしましょう。
  • 間食は控えめにする。間食は一日の必要エネルギー量の範囲内で、食事の一部として摂取することが大切です。間食で摂取するときには、砂糖や脂質が多いお菓子ではなく、乳製品や果物、無塩の素焼きナッツなどを適量摂取するようにしましょう。
  • 糖質制限食を試してみる。糖質制限食とは、糖質が多く含まれている食品を制限する食事法です。糖質制限食は、血糖値を下げるだけでなく、肥満や高血圧、中性脂肪などの改善にも効果的だと言われています。

以上が、食事・運動・睡眠以外で工夫できることです。これらの方法はすべて自分で実践できるものですが、無理をせずに自分に合った方法を見つけて実践していきましょう。また、医師や栄養士などの専門家からもアドバイスを受けることも大切です。

糖質制限に関して

糖質制限食とは、糖質が多く含まれている食品を制限する食事法です。糖質制限食は、血糖値を下げるだけでなく、肥満や高血圧、中性脂肪などの改善にも効果的だと言われています。

糖質制限食の方法はさまざまですが、一般的には以下のようなポイントがあります。

  • 主食(ごはん、パン、麺類など)の量を減らす。一日の摂取量は100g以下にすることが目安です。
  • 主食の代わりに野菜やきのこ、海藻などの食物繊維やたんぱく質源(肉、魚、卵、豆類など)を多めに摂る。
  • 甘い飲み物やお菓子などの間食は控える。必要ならば低カロリー甘味料や糖質ゼロの商品を選ぶ。
  • 調味料やソースにも糖質が含まれていることに注意する。醤油や味噌などは少量で済ませるか、糖質オフのものを使う。

糖質制限食を始める場合は、自己流で行わずに医師や栄養士などの専門家に相談することが大切です。過度な糖質制限は体調不良や栄養不足を招く恐れがあります。また、妊娠中や授乳中、腎臓や肝臓に障害がある場合などは糖質制限食が適さない場合もあります。

糖質制限食の効果は個人差がありますが、一般的には 2週間後以降 に現れると言われています。糖質制限食を1週間程度行っても体重は落ちますが、これは水分量が減っているだけなので、普通の食事に戻した途端に元の体重に戻ります。

糖質制限食を続けると、糖の代わりに脂肪をエネルギーとして消費する身体になります。このときに出てくるのが ケトン体 です。ケトン体が作られるようになると、脂肪の燃焼が始まり、本当の意味で痩せ始めます。ケトン体が作られるようになるまでには、早い人でも2週間、遅ければ3ヶ月程度かかります。

ケトン体とは、脂肪酸の代謝の過程で発生する物質の総称です。ケトン体には、アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸という3種類があります。

ケトン体は、糖質が不足すると、エネルギー源として使われるようになります。糖質制限や断食などで、血液中のケトン体が増えることをケトーシスと呼びます。ケトーシスは、脂肪が燃焼されている証拠とも言えますが、過度なケトーシスは体調不良や酸塩基平衡の乱れを引き起こす可能性があります。

ケトン体は、エネルギー源としてだけでなく、生理活性物質としても様々な作用を持っています。例えば、ケトン体は炎症反応を抑制したり、癲癇(てんかん)の発作を抑えたりすることが報告されています。また、ケトン体は寿命延長や認知機能の改善にも関与している可能性があります。

ケトン体は、糖質制限や断食だけでなく、ケトン供与体という物質を摂取することでも増加させることができます。ケトン供与体は、水に溶けて消化管から吸収された後にケトン体に変化する物質です。ケトン供与体は、病気の治療や健康増進のために利用されることが期待されています。

まとめ

糖尿病は早期発見・早期治療が大切ですが、それ以上に予防が重要です。50代という年代は、仕事や家庭で忙しくて自分の健康をおろそかにしがちですが、自分の体は自分で守るしかありません。少しでも気になることがあれば、早めに医師に相談しましょう。そして、食事・運動・生活習慣の3つの観点から自分に合った対策を見つけて実践していきましょう。健康的な生活を健康的な生活を送ることは、糖尿病だけでなく、他の生活習慣病や老化の予防にもつながります。50代は、まだまだこれからの人生を楽しむための大切な時期です。自分の体に優しく、自分の体に感謝しながら、健康に気を配っていきましょう。糖尿病対策は、自分のためにも、家族や友人のためにも、社会のためにもなります。今日から始めることができる簡単なことから始めてみませんか。あなたの健康と幸せを心から願っています。

この記事を書いた人

ふうりん

55歳会社員。あと、5年で定年です。お金にはある程度ゆとりを持ちたいですが…そんな急に増えませんね…最近ファイナンシャルプランナーの資格を取りました。(FP2級ですが)かじっただけですが、お金は大事です!また、知らないことが多いです!もう少し深堀りしていこうと思って勉強中です!!定年までにもう少し知識を増やして行きたいです。